煙草を止めた日


早いものだ。

絶対止められないと思っていたタバコを辞めてもう一年が経つ。

窓の外を眺めるともうはち切れんばかりに膨らんでいる桜の蕾が風に揺れている。

意外と止めれるものなんだなあ。

僕は一年前、妻から子どもを身籠ったと打ち明けられた日、大好きだったタバコを止めた。

男としてのケジメというよりかは、父親としてのケジメだった。

生まれてくる子どもの為・・・
生まれてくる子どもが、少しでも健康に生まれてくる為に・・・

その直後、僕は肝臓の病気を患った。

幸いにもその事がさらにタバコという存在を疎遠にしてくれた。

でも、僕は人間。
無性に吸いたくなる時もある。

そんな時、生まれてくる子どものエコー写真を眺めたら、そんな気が自然と失せていったんだ。

娘が生まれてからは、さらにその思いが強固になった。

そりゃそうさ、エコー写真ではない実物の娘が目の前に存在するのだから。

僕はこれからも煙草を止めるつもりだ。

でも、僕は弱い人間、約束は出来ない。

でも・・・でもね、
こんな愛おしい存在に、煙を吸わせる事なんて、僕にはこれからも出来そうもない。