5月16日午後12時20分。
祖母は病院のベッドの上で眠るように亡くなった。92歳だった。
何ら昨日と変わらぬ空
何ら昨日と変わらぬ景色
何ら昨日と変わらぬ空気
なのに
人生だけはゆるやかに進んでいたんだ
刻々と
それも
喜びも悲しみも無視をしているかのように無愛想に
かすかに季節の残り香を漂わせながら
息を引き取る前、タイムスリップしたように昔の友人の名前を呼びながら、学生時代のような会話をしていた祖母。
何より楽しかった頃の友人達に囲まれて嬉しかったのではないだろうか。
そう物語るかのように永遠の眠りについた寝顔が穏やかな表情で満ちていた。
以前、僕が報道カメラマンとして活動していた時は、子ども達がお前と出会うことで少しでも幸せと思える瞬間が訪れてくれるようにと毎回毎回、毛糸で編まれたたくさんの人形を作ってくれた祖母。
僕にとって、親族であるとともに良き理解者であり、恩人であった。
本当に
婆ちゃん。
ありがとう。